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  • 2008.10.16 Thursday
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§1 怪人二十面相VS明智小五郎 第1話「マリアの涙」


◆創刊号:名場面◆ 

   ホテル王大滝氏の邸に、恐怖の予告状が!!

   「貴殿の宝『マリアの涙』を頂戴する。怪人二十面相」 

  さっそく、大滝氏は、執事の草田に命じて、明智探偵の事務所へ・・

   「マリアの涙」とは、かつて、海運王「オナシス」が、最愛の女性で、
  オペラ歌手「マリア・カラス」のために、ぜいをこらして造らせた、素晴
  らしく、美しい、首飾りである。

   「レプリカを使ったら?」怪人二十面相は、明日の夜12時に、大滝氏
  の美貌の若妻・早苗夫人の誕生パーティーに現れる。その時までに、細か
  い細工のレプリカは造れない。「マリアの涙」は、入手したばかりだから
  盗難保険も掛けられていなかった。 さて、明智探偵は、どうする?「マ
  リアの涙」は、怪人二十面相の手に落ちるのか!!

       メールマガジン|江戸川心歩全集|ヒミコの悪運退散

§1 明智小五郎VS怪人二十面相  第1話「マリアの涙」盗難事件:1

明智小五郎 28歳 名探偵 独身のイケメン・誠実

カオリ 明智の助手
小林君(小5)明智の助手 大臣君(小5)かっちゃん(小5)
織田警部補 恋人真知子
下田警部補 妻信代

大滝氏 ホテル王・大金持ち 若い妻早苗
草田 大滝邸の執事
マジシャン  
ピエロ

怪人二十面相 変装して現れる大盗賊 殺人はしない主義

    1

 夕映えが洋館のステンドグラスを通して、サロンが紫色に染まり、オペラ・トゥー
ランドットのアリアが流麗に広間に溢れている。らせん階段から、黒のビロードのド
レスをまとった、艶やかな黒トカゲ夫人が、ワイングラスを片手に優しく微笑みかけ
ながら、階下の明智小五郎を見下ろしている。二人の視線がからみ合って、明智小五
郎が手を差し伸べると、夫人はゆっくりと降りて近づいてくる・・・

「先生、明智先生、お客様です、起きて下さい!先生!」
 カオリの声で、明智小五郎は気持ちのよい眠りから、現実に引き戻された。――い
い夢だったのに・・・
「ん?」
「先生、しっかりしてください。お客様ですよ!」
「そうか・・お通しして」
「はい、はい、先生、しょうがないなあ、襟元・・髪も・・」
 カオリはソファーから起き上がった明智青年のくしゃくしゃになった、えり元と髪
の毛を素早く整えてから、急いで客を明智の部屋に通した。
 明智はまだ夢見ごこちで少しぼーっとしている。――美しかったなあ・・黒トカゲ
夫人は・・
 
 既製の背広と糊のピシッと掛った白いYシャツに短髪の、いかにも生真面目・几帳
面なやせた初老の紳士は、折り目正しく、明智に深々と頭を下げ、勧められるままに、
ソファーに腰を下ろすと、青い顔で、明智の言葉を緊張気味に待ち構えている。

 カオリが直にコーヒーを運んできた。
「さ、熱いうちにどうぞ」
「は、はい、先生」

 明智に優しく砂糖を勧められて、二杯ほど入れると、その紳士は、少し、砂糖をこ
ぼして、あわてている。カオリが直に気が付いて、ニコニコして、清潔なグリーンの
ダスターで拭きとって、別室に下がった。

「あ、申し訳ございません、とんだ粗相を」
「お気になさらずに、今日はどんなご用件ですか?」

「はい、私は、こういうものでございます。本日は、私の仕えております旦那様から
のお言いつけでございまして」

 紳士は、ポケットから自分の名刺を取り出して明智に渡し、小さな黒い革の鞄のチ
ャックを開けると、恐ろしい怪物にでも遭遇したように不安そうに、震える手で、一
通の手紙を取り出して、明智に渡した。

 名刺には
 《大滝邸執事
         草田 克夫
                    電話番号内線++++》とある。

「大滝さんというのは、あの大滝氏ですか」
「はい、さようでございます。先日、二日前の事でございますが、私共の旦那様の処
に、このような恐ろしい予告状が来まして」

 大滝氏というのは、以前は有名なホテルチェーンの会長だったのだが、ここ最近、
60歳を過ぎてからは、会長職を勇退し、奥多摩の広い屋敷で、孫娘のような若い美
しい妻と一緒に、悠悠自適の生活を楽しんでいるという、有名な資産家である。

「この手紙、拝見してもよろしいですか」
「はい、旦那様が、是非、明智先生に読んでいただきたいと申しましておりまして」

「それでは、失礼して」
 明智は、開封された手紙を取り出して、読み始めた。

《大滝総一郎殿
       25日午後12時
         貴邸に「マリアの涙」を頂きに参上する
                            怪人二十面相》

「・・フーン、明日の真夜中か・・この、『マリアの涙』というのは、どういった
?」
「はい、それは、先週東京のオークションに掛けられましたばかりの、かの大富豪オ
ナシス家の遺産の中の、宝飾品の一つでございまして、生前、オナシス様が、最愛の
恋人のオペラ歌手の・・マリアなんとか・・」

「ああ、マリア・カラスの為にですね」
「はい、はい、確か、そのようなお名前でございました。王妃様が身につけられるよ
うな、それはそれは、まばゆいほどの、立派なネックレスでございます」

「それは、15カラットの赤いダイヤの、マリア・カラスが、オペラ『椿姫』の舞台
で身につけていた筈だったな・・カオリ君、ちょっと、マリア・カラスの、写真か何
か・・ここに持って来てくれないか、オペラ歌手の」

「はあい、先生、ちょっとお待ちください」
 執事は目をしばたたきながら、申しわけ無さそうに、
「私、オペラの方は、何分、不調法でして、申し訳ございません」
「私も、最近はあまり、オペラには出かけていないのですが、少し前にマリア・カラ
スの伝記映画のビデオを観たんですよ。カオリ君、あったかな?」
 
 カオリが、マリア・カラスの写真集つきのCDジャケットを持って、部屋に入って
来た。
「先生、これでいいんですか?」
「あ、これだよ。確かオペラ『椿姫』の・・さて・・あ、ありました。草田さん、ご
依頼の件は、この写真のネックレスでしょうか」
「あ、はい、はい、これでございます」

 白黒の舞台写真だが、確かに、マリア・カラスの胸に、素晴らしいダイヤと思われ
るネックレスが輝いている・・・・・・・・・・・・・

       メールマガジン|江戸川心歩全集|ヒミコの悪運退散



§1 怪人二十面相VS明智小五郎 (第1話・マリアの涙2)


ああッ 怪人二十面相だあ!!

∞前回までのあらすじ∞                          
 
  「貴殿の宝、『マリアの涙』を頂戴する 怪人二十面相」!!       
     

ホテル王、大滝氏の元に、恐怖の予告状が! 怪人二十面相は、深夜24時、大滝早夫人の、24歳の誕生パーティーの会場に・・・当夜、パーティー会場では、明智探偵と織田警部補、下田警部補が潜入して、二十面相を待ち伏せていた。助手のカオリ、織田の恋人の真知子、メイドに変装した、下田の妻の信代・・・時刻は12時に近づいてる・・変装の達人・怪人二十面相!!一体この中の誰が??・・・助手の小林少年(小5)は、わくわくして、待ち構えている・・・(時間がなくて、首飾りのレプリカは、作れなかった、さあ、どうなる??)
    

 さて、今日の名場面を・・・・・・

 今夜のカオリは、とても清純で可愛い。明智はカオリと恋人のフリをして、肩を抱いて、庭に出てみた。仕事中だが、カオリは少し、ドキドキした。外に出ると、誰もいない。

  明智は真剣な表情で・・・・中略・・・・・・・

・・・・11時50分、音楽が止んで、サロンの照明が薄暗くなった。二人のメードがワゴンに乗せた大きなバースディーケーキを運んできた。ケーキの上で、24本のろうそくが、キラキラと光って揺れている。その後から、ボーイ姿の下田警部補に付き添われて、草田が、ネックレスの入った小箱を持ってきた。

・・!突然、車椅子の老人が立ち上がって、ネックレスの箱に手を伸ばした。大滝氏はすぐに箱のふたをぱちんと閉め、明智が箱をつかんだ。
                       
 かっちゃんが、ガブッと老人の手に噛み付いた。老人は痛みに顔をゆがめて、かっちゃんを殴りつけ、手を振り解いて、左手で拳銃を構え、早苗夫人の腰を抱いて、夫人ののど元に拳銃を突きつけた。                       
            
 女性客たちが                               
    
「キャー!!」と悲鳴を上げ、織田と下田が二人の側に来たが、手出しが出来ない。
    
    「フフフフ・・動くな!動くと撃つぞ!」                   
    
 怪人二十面相が地獄の底から響いてくるような、低い、はっきりした声で言った。
    
 早苗夫人は、青白い顔でふるえている・・・・・中略・・・・・・

 広間の中では、真っ青になっている人たちの真ん中で、怪人二十面相と明智が、にらみ合って立っていた。

 二十面相が、早苗夫人の細い腰を抱いて、拳銃を前に出すと、客たちが通り道を開け た。そのまま、二十面相は、早苗夫人の腰を抱いたまま、らせん階段を登り始め、明智と織田と下田がその後をゆっくりと追っていく。階段の踊り場で、    
        
  「怪人二十面相、早苗さんを離せ!離すんだ!」 ・・・・中略・・・・・    
                                      
                  
 「フフフフ・・・・明智、先に箱をここに置いて、階段を降りろ。言うとおりにしな
いと、早苗さんの命は無い・・・・・・中略・・・・・・・「ク、クソオ!」・・・中略・・

「明智先生、二十面相の言うとおりにしてください、早苗の命にはかえられまん」・・・中略・・・・


 怪人二十面相は、高窓を開けると、                     
       
「フフフフ・・・フフフフ・・・ハハハハ・・」                
      
と高らかに笑い声を立てて、黒いこうもりのように、さっと窓から・・・・・後を追いかけて、窓から飛び降りようとすると、高すぎて無理だ。              
          

「どういう事だ?」                             
    
「おい、走っていくぞ」                           
    
「仕方ねえ、外に廻るか」                         
 なぜか、織田の車はパンクして、走らない。
 すぐに下田の車に乗り換えたが、これもまた、パンクしている。         
          
 織田はすっかり頭の中が煮えたぎっている。                 
    
 「クソオ!!二十面相の野郎!」                       
    
 車の窓に、明智が顔を出した。                       
    
「・・・やられたね。さ、二人とも、屋敷の中に戻って、ハハハハ・・・・・・」 
               
「こんな時に、戻れるか!」(織田警部補)・・・・・・・・・


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